皮膚の表面からは1000種以上の細菌が見つかっています。その中には表皮ブドウ球菌のように皮膚を守る働きをするものもいる一方で、水虫などの皮膚病を引き起こす菌も。蒸し暑くなるこれからの季節は特に注意が必要です。
かゆみがあるから水虫とは限りません
水虫の原因菌はカビ(真菌)の一種の白癬菌です。白癬菌の栄養分はケラチンというたんぱく質。ですから、ケラチンが多く存在する場所であればどこにでも感染します。
白癬菌が足に感染した場合を水虫といい、部位や症状によって大きく4つに分類されます。足の指の間が白くふやけたり、皮がむけたりする「趾間型」、足の裏に小さな水疱ができる「小水疱型」、足の裏全体が硬くなる「角質増殖型」、白癬菌が爪に侵入する「爪白癬」です。
これらのうち、角質増殖型と爪白癬は、ほとんどかゆみはありません。逆に、かゆみがあっても水虫でないこともあります。自己判断しないで皮膚科専門医を受診するようにしましょう。
症状が治まっても薬を塗り続ける
水虫は一度かかると治らないと誤解している人も多いようですが、医師の指示どおり薬を塗り続ければ完治し、安易に再発することはありません。しかし、かゆみがなくなると治ったと思い込んで治療を中止してしまい、再発を繰り返すケースが多くみられます。最低でも1ヵ月、毎日薬を使い続けること、また、症状のある部位だけでなく、足裏全体に塗ることが大切です。なお、爪白癬については、塗り薬では有効成分が届きにくいため、通常、飲み薬が処方されます。
水虫の治療や予防には、足を清潔にすることも重要なポイントです。ただし、ゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけ、かえって水虫になりやすくなります。石けんを泡立ててやさしく洗うことを心がけましょう。せっかく足をきれいにしても、毎日使うバスタオルや足拭きマットに白癬菌がついていては台無しです。マットやタオル類はこまめに洗濯してください。白癬菌は髪の毛やホコリなどにまぎれて家具の下や部屋の隅などにいることが多いので、隅々まで掃除機をかけることも大切です。
子どもの手足にイボができたらウイルス感染かも
皮膚にウイルスが感染してイボができることがあります。イボにはさまざまな種類がありますが、最も多くみられるのが子どもの手足や膝裏に発症しやすいヒトパピローマウイルスによる尋常性疣贅です。痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、放置すると多発して治りにくくなります。治療は液体窒素を用いた冷凍凝固療法を複数回行うのが一般的です。
なお、水虫やイボについてわからないことがあるときは、薬剤師に気軽にお尋ねください。
~classA 薬局の健康情報紙 ライフ 2020年5月号より