毎月生理前になると、わけもなくイライラしたり憂うつな気分になったり、頭痛や腰痛に悩まされたりしませんか。これはPMS(月経前症候群)と呼ばれる生理前特有の心と体のトラブルです。どんな症状が現れるのかを知り、上手にコントロールしましょう。
人によって症状の現れ方や程度はさまざま
PMSは生理が始まる3~10日ほど前に現れる体や心の不調をいいます。原因ははっきりとは分かっていません。一説には生理周期半ばあたりの排卵期を過ぎると2つの女性ホルモンの分泌量が急激に変化し、脳の中枢(視床下部)がそれに対応しきれなくなることで、PMSのさまざまな不調が起こるのではないかと考えられています。
視床下部は自律神経の中枢でもあるため、視床下部が対応しきれなくなると自律神経が乱れ、血流が悪くなって頭痛や課肩こりが起きたり、腸の働きが乱れて便秘や下痢をもたらします。視床下部は食欲や五感にも関わっていることから、食欲が異常に増したり、においに敏感になったりします。感情を司る中枢とも隣り合っているため、イライラや憂うつ、無気力、不安などの精神症状も現れます。
また、排卵後の黄体期に分泌される女性ホルモンには水分をため込む働きがあるため、むくみが生じたり、倦怠感を覚えたりすることもあります。症状の現れ方や程度にはかなり個人差がありますが、複数の症状が重なって現れるケースがほとんどです。
セルフケアで症状を緩和
原因がよく分かっていないため、PMSの根本的な治療法はまだ確立されていません。そこで重要になってくるのがセルフケアです。規則正しい生活、バランスのよい食事、ストレスをためないことが基本です。体内に塩分量が多くなると、体の細胞はそれを薄めようと水分を取り込み、むくみやすくなります。むくみが気になる人は、PMSの時期には塩分控えめの食事を心がけるようにしましょう。
ウォーキングやストレッチなどで軽く体を動かすことは気分転換になり、PMSの症状軽減にもつながります。体を動かしたくないときは、深呼吸をするだけでも気分がすっきりします。
症状がつらいときは早めに受診
症状がつらいときやセルフケアを行っても仕事や家事に支障がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
医療機関では、むくみには利尿剤、頭痛や腹痛には痛みを抑える鎮痛剤、イライラや気分の落ち込みには精神安定剤など、その人の症状に応じた薬(漢方も含む)や、排卵を一時的に中止してPMSの症状を軽くする低用量ピルを用いた治療などが行われます。
なお、PMSの諸症状を緩和する一般薬(薬局で購入できる薬)もあるので、薬剤師に相談するのもよいでしょう。