〈こころの病気は回復できる病気です〉
こころの病気にかかったとしても、多くの場合は治療により回復し、社会の中でも安定した生活を送ることができるようになります。こころの病気になった場合は、身体の病気と同じように治療を受けることが大切です。「焦らず、じっくりと治す」という気持ちが大切です。
〈こころの病気を正しく理解しましょう〉
こころの病気は、本人が苦しんでいても、周囲からは、気付かれにくいという特徴があります。周りの人が気付かないうちに無理なことをさせたり、傷つけたりして、病状を悪化させているかもしれません。周りの人々の正しい理解がとても大切です。
今回は、こころの病気の中でも、うつ病について考えてみましょう。
〈うつ病の症状〉
○身体症状
・睡眠障害: 寝つきが悪い。眠りが浅い。2週間以上続く不眠は要注意。
・食欲の変化: 食べたいという気にならない。おいしいと感じない。
・その他: 頭痛、胸が締め付けられて息苦しい、便秘、寝汗など。(多様)
○精神症状
・関心、興味の減退: 好きなことや、ニュースを見るなどの興味がわかなくなる。
・意欲、気力の減退: 何をするのも面倒で頭を使うのがいやになる。身支度が面倒になったり仕事の山ができたりする。
・知的活動能力の減退: それまでできていたことが出来なくなり途方にくれる。文字を読んでも頭に入らず、食事の献立が考えられず何を買ってよいかわからない。
・その他の症状: 様々な症状から、無力感、劣等感、自責感、罪責感などを感じて、さらに苦しんでしまう。
これらの症状が強まったり長引いたりすると、日常生活が辛く、少しでも楽になりたいと思い、周囲の意見を聞くこともないままに退学届・辞表を出す。また、死にたいという気持ちが起こり、実行しようとする。特に早期および回復期にはその危険性が大きい。
○日内変動
身体・精神症状は朝、目を覚ました時に最も悪く、次第に軽快して、夕方から深夜には相当回復する。
〈うつ病の治療〉
経過は様々ですが、早期に対応するのかどうかでその後の状態が変わってくる場合が多いです。
・主に薬物療法: 様々な抗うつ剤があり、医師の指導のもとに適切に治療を受けることでその後の経過が随分違ってきます。
・精神療法: 本人は、医師からしっかりと病気の説明を受けましょう。周りの人は安易に励まさないようにします。治るまでは、退学、辞職など重大な決定をしないようにしましょう。
こころの病気は条件がそろえば誰でもかかりうる風邪のような身近な病気です。自分の陥りやすい傾向を知り、辛いと感じたら早めにSOSを出しましょう。同じように周りの誰かが辛そうにしていたらさりげなく手を差し伸べましょう。
~協会けんぽ福岡支部メールマガジン 第88号より