〈からだはどういう状態になっているの?〉
「糖尿病」というと、尿の中に糖が含まれている状態が主だと感じる人も多いですが、実際は血液中の糖分が正常範囲を超えて流れている状態のことです。そこから様々な身体の(小さな)血管に病的な変化がみられるのです。
〈血糖値が高くなる原因は?〉
血液中の糖が細胞に取り込まれてエネルギーとして利用されるためには、すい臓から分泌されるインスリン(ホルモン)の働きが必要です。痩せていてインスリンが不足しているために血糖値が高くなっている人もいますが、太り気味の方の高血糖の原因のほとんどは生活習慣(運動不足、食べ過ぎ、飲み過ぎ)にあります。
〈このままだと、どうなるの?〉
過剰なブドウ糖が変性して血管壁を傷つけます。そうなると硬くなったり、破れたり、詰まったりしやすくなります。それが全身の臓器にも影響を及ぼして、眼底出血を起こし失明したり、腎機能が低下し、人工透析に移行したりします。
○血管が傷つくことによっておこる糖尿病の合併症
糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経症、脳卒中、心筋梗塞・狭心症、閉塞性動脈硬化、肺炎、歯周病、皮膚炎など
〈検診ではどの値をみればいいの?〉
○糖尿病予備軍 空腹時血糖・・・100mg/dl以上またはHbA1c・・・5.6%以上(NGSP値)
○糖尿病域 空腹時血糖・・・126mg/dl以上またはHbA1c・・・6.5%以上(NGSP値)
〈内臓脂肪は血糖値を上げる〉
内臓脂肪が多いと、インスリンの働きをよくする善玉物質(アディポネクチン)の分泌量が減って、逆にインスリンの働きを悪くする悪玉物質(TNF-α)が増加します。そのためにインスリンの働きが悪くなって血糖値が上がってしまうのです。
〈食事と運動は血糖コントロールの両輪〉
食べ過ぎ・飲み過ぎを避けて、すい臓に負担をかけないようにしましょう。一方、運動をすると筋肉が使われることによって血糖が筋肉に取り込まれ、エネルギーとして使われます。さらにウォーキングなどの有酸素運動は内臓脂肪を燃焼させる効果が高く、インスリンの働きがよくなります。
〈医療機関に早めに相談を〉
血糖値が正常範囲を超えていても自覚症状がない場合が多いです。健康診断で指摘を受けたり、糖尿病予備軍の範囲の値を超えている場合は、早めに医師に相談しましょう。また保健師や管理栄養士などの専門職に具体的なアドバイスをもらうこともオススメです。希望される場合は、協会けんぽ福岡支部 保健グループ(TEL092-284-5840)までお問い合わせください。
~協会けんぽ 福岡支部メールマガジン 第94号より