~タバコについて考えてみましょう~
国をあげて禁煙に取り組む1年になります。あらためてタバコについて考えてみましょう。
WHOのタバコに関する統計(2013年)によると、タバコが要因となって死亡した人の数は年間600万人を超えて、このまま増え続けると2030年には800万人に達する可能性があるとされています。
〈タバコに含まれる主な有害物質〉
○ニコチン 殺虫剤成分にも使われる猛毒。胃潰瘍や十二指腸潰瘍なども引き起こす。全身の血管を収縮させ、皮膚温も低くなる。
○タール 発がん物質を40種類以上含んでいる。肺がんをはじめ、多くのがんの原因となる。
○一酸化炭素 動脈硬化を進めて心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす。酸欠状態にも歯車をかけ、持久力や作業効率が低下する。
〈タバコをやめられないのはどうして?〉
喫煙は、ニコチン依存症という「脳の病気」です。
タバコに含まれるニコチンには、アルコールやコカイン等の依存性薬物と同じように、精神依存症(何が何でも薬物を摂取したいという強い欲求)、禁断症状(離脱症状とも言い、体からその薬物の濃度が減ると手が震える、イライラするなどの不快な症状)、身体依存性(同じ効果を得る為に次第に摂取量が増える)があります。
タバコを吸うと、ニコチンが短い時間で脳に到達してニコチンを受け取る鍵穴に入り、快楽物質であるドパミンを過剰に出すことで依存になると考えられています。喫煙者は、快感や覚醒、気分の調整など脳の大切な働きの調節をニコチンに委ねてしまっているので、禁煙すると脳の働きが低下し、イライラや眠気などの禁断症状が出るのです。初めての人でもタバコを4回吸ってしまうと、このニコチン専用の鍵穴(受容体といいます)が脳の中でつくられるといわれています。
タバコをやめられないのは自分の意思が弱いからではなく、喫煙の本質が薬物依存という「脳の病気」だからです。
〈軽いタバコに替えたらいいの?〉
軽いタバコに替えても体への害は変わりません。
ニコチンの依存程度に応じて血液中に欲するニコチン濃度が決まっているので、ニコチンの少ないタバコに切り替えると、血液中のニコチン濃度を自分に合ったレベルに保つようにしようと、無意識に吸う本数が増える、深く吸い込む、タバコの根元まで吸うといった行動をとりがちです。その結果、有害物質が体内に取り込まれる量は減りません。
〈受動喫煙の影響〉
主流煙(喫煙者が吸うタバコの煙)に比べて、副流煙(タバコの火から立ち上る煙)には多くの発がん物質や刺激性物質が含まれています。タバコを吸わない周囲の人も、深刻なタバコの影響を受けています。主流煙に比べるとフィルターを通さない副流煙の害の方が深刻だと訴える専門家もいます。
~協会けんぽ 福岡支部メールマガジン 第104号より