薬の目的
治療で薬を服用する目的は主に以下の4つに分けられます。
<原因療法>
病気や症状の原因を治療することを原因療法と呼びます。
例えば、肺炎や膀胱炎などの感染症の原因である病原菌を攻撃する抗菌薬です。
<対症療法>
病気の原因を治療するのではなく、熱や咳、痛みなどの症状を抑えたり、和らげたりする治療を対症療法と呼びます。
痛みや熱に対して用いられる解熱鎮痛薬や、花粉症の時に使われる抗ヒスタミン薬などです。
<補充療法>
体に不足しているものを補う治療を「補充療法」と言います。糖尿病で用いられるインスリン注射や、更年期障害などで女性ホルモンを補充するホルモン補充療法などがあります。
<予防療法>
病気の予防ための治療を「予防療法」と言います。インフルエンザや日本脳炎、風疹、麻疹、子宮頸ガンなどの予防接種が該当します。
薬が体に取り込まれる経路による種類
<内服薬>
最も身近な薬と言えば、錠剤、カプセル剤、液剤など、口から飲む内服薬です。錠剤やカプセル剤の中には、苦い薬を飲みやすくしたり、薬が溶けだすスピードをコントロールして長く効く様に工夫しているものもあります。かみ砕いたり、カプセルの中から出さずに水かぬるま湯と一緒に飲むようにしましょう。ただし、かみ砕いて飲む薬もありますので、飲み方は、医師・歯科医師、薬剤師等の指示に従ってください。
<注射薬>
血管(静脈、動脈)、皮下、筋肉などに注射して、体の中に直接送り込む薬を注射薬と呼びます。糖尿病のインスリン注射や骨粗しょう症の注射など一部を除き、原則的に、注射薬は病院や診療所で使われます。一般的に注射の場合は血管に直接送り込むので、痛みを伴いますが、即効性や効果の確実性は口から飲む内服薬などよりも高いとされています。
<外用薬>
肩こりや腰痛の時に用いる痛みを和らげる湿布、湿疹やかぶれなどの時に使う塗り薬、点眼薬(目薬)、うがい薬や喘息の吸入薬、肛門に注入する坐薬などが外用薬の仲間です。色々な外用薬があり、用途や使い方は様々です。例えば、同じ貼り薬でも、肩や腰の痛みに使う湿布、呼吸を楽にしたり咳を出にくくするもの、胸が痛くなったり苦しくなることを予防するもの、おしっこに関する症状を改善するものなどがあります。他の薬と同様に使用方法や部位を確認して、定められた使い方を守るようにしましょう。
☆色々な錠剤
<口腔内崩壊錠>
水がない外出時や水分を制限されている場合でも飲みやすいように、だ液で溶けるように作られた錠剤です。多くは薬の名前にOD錠、D錠と付いています。
・チュアブル錠
かみ砕いて、だ液で溶かして飲む錠剤です。水なしで飲める点は口腔内崩壊錠と似ていますが、チュアブル錠はかみ砕いてこまかくしてから、だ液で溶かして飲みます。かみ砕かないと口の中でうまく溶けないことがあります。
<舌下錠>
舌の下に薬を入れ、舌の下にある血管から急速に有効成分を吸収させる錠剤です。飲み込んだり、かみ砕いたりせず舌の下に錠剤を入れて、だ液で自然に溶かします。急速な効果を期待する狭心症発作時の薬などに用いられています。
<バッカル錠>
舌下錠と似ていますが、薬の成分を口腔粘膜からゆっくり吸収させる錠剤で、錠剤を歯と歯ぐきの間にはさみ、飲み込んだり、かみ砕いたりせず、だ液で自然に溶かします
薬の副作用
副作用の無い薬はまずありません。
例えば、かぜ薬やアレルギーの症状を抑える薬を飲むと眠くなるというものがあります。
眠気が起こるのは、薬が中枢神経に働きかけて眠気を引き起こすためです。
眠気の感じ方には個人差がありますが、この様な眠気を引き起こす薬を服用したときには車の運転などは避けた方は良いでしょう。
体質や体調などにより副作用が出ることがありますし、正しく薬を飲まなかったことで起こることもあります。
また、薬自体の性質として起こる副作用もあります。
そして、薬を飲んで副作用が出たときには、今後のためにどの薬でどのような副作用が出たのか、おくすり手帳などに記録をし、次回、薬を処方してもらうときなどに、医師・歯科医師、薬剤師に副作用が出た薬の名前を是非伝えて下さい。